人材育成ではスタッフ自身以上にスタッフを信じることが大切<情熱ダイニング株式会社>

情熱ダイニング株式会社

情熱ダイニング株式会社は、阪神淡路大震災の翌年1996年に、神戸の復興を願い「食を通じて笑顔や元気を与えたい」と、代表の池原晃喜さんが包丁1本で起業したのが始まりです。現在は神戸市内を中心に居酒屋やカフェを6店舗展開するほか、地元の農家さんを応援する「リファーム事業」や「野菜スウィーツ事業」、オンライン通販なども手掛けています。

しかしここにたどりつくまでには若手が定着せず、人材の確保に悩んだ日々も。その経験から若手のサポートや人材育成に力を入れ、今日まで成長を遂げてきました。池原さんは兵庫県中小企業家同友会の人材育成委員長を務め講演会で登壇することもあります。今回、代表の池原さんに若手を育成するうえで大切にしていること、実践していることをお聞きしました。


定期的な面談では「できた」を本人が実感することが大事

情熱ダイニング株式会社は、神戸の新鮮な野菜をふんだんに使った創作料理を、それぞれの店舗のコンセプトに合わせてお届けしています。今でこそ神戸市内に複数お店を出していますが、起業してしばらくの間、スタッフを採用しても長続きしませんでした。それは私が、かつて教わったように職人気質な雰囲気のまま店を運営をしていたからだと思います。その失敗から、一人ひとりに沿った人材育成に力を入れるようになりました。

当社では、社員・アルバイトに関係なく月1回の店長面談のほか、試用期間明けと年2回の社長面談があります。店長面談では、スコアブックをみて「こういう風にステップアップしていこうか」、できていない部分は「こういうふうにしてみてはどうだろう」というように、チームの目標管理を個人に落として本人が何をすればよいのかを明確にしています。このとき、できなかったことを指摘するのではなく、「出来なかったことが出来るようになった」ということをスタッフ自身が認識することがまずは大事だと思っています。

面談では、黙って私の言葉を待っている人もいますが、自分からアクションを起こさなければ人生何も始まりません。面談時、私は本人の言葉が出るのを「待つ」こと心がけています。


「君ならできる」。スタッフ以上にスタッフのチカラを信じることで新たな才能が花開く

採用面談のときに「キラリ」と光るものを見出したあと、採用して「そうでもなかった」と感じたことはありません。スタッフの良さを活かすのは会社です。雇用には責任がつきもの。求職者はさほど思っていなくても、雇用する側は一生付き合う気持ちで面談にのぞんでいます。だから採用したスタッフの潜在的な力を信じることが大事だと思っています。

成長していく中で、よくあるのが「僕、そこまでできると思っていません」という言葉。自信のないスタッフの「わたしには無理」という言葉に対しては、「こちらはそこまで考えているんだよ」「君ならできる。私はそう信じる」とはっきり伝えます。雇用する側がスタッフ以上にスタッフのチカラを信じることで、本人が作った限界を自ら突破し、新たな自分を開花させていくスタッフは多いです。

ただ気を付けることは、一人ひとりの個性に寄り添うこと。まっしぐらに成長していくスタッフもいれば、ジグザグと折れ線を描きなが成長するスタッフもいます。何かあったら一緒に立ち止まってあげるようにしています。


費用をかけても研修の機会は多くつくる

当社では接客、料理、マネジメント研修まで多彩な研修内容を用意し、楽しく学べる工夫をしています。マネジメント研修ではボードゲームを使って参加者がそれぞれ社長となり、仕入れ・コスト管理をしながら決算書をまとめていきます。

「店長になりたい」「独立したい」という夢があっても、損益計算書の見方がある程度できなければ「流行っているけど利益があがらない」という事態に陥りがちで経営は長続きしません。

昔は学びたいことは自分で学びにいくものでしたが、今の時代はそうはいかないもので研修は手当をつけて参加必須にしています。今後、人で勝負する企業は人材教育の資金はますます必要でになるでしょう。マネジメントゲームは私が資格をもっているので教えることもできます。上に立つ者も日々成長です(笑)。もちろん人で勝負しないという経営方法もあると思います。飲食業界も今後さらに両極端に分かれていくことになるのではないでしょうか。

企業名
情熱ダイニング株式会社
店名
「八百屋カフェ SANNOMIYA」「鶏と魚と野菜と Momiji」「TOUFU-Dining 大豆屋」「VEGETABLE DINING 農家」「農家うたげ。」「立ち飲み割烹農家 本物の味を気軽に楽しむ店」
所在地
神戸市中央区下山手通2丁目13番11号 トアロードビル701
URL
http://www.ko-z.com/
事業内容
飲食店の経営、オンラインショップ通販のほか、リファーム事業、野菜スウィーツ事業など

情熱ダイニング株式会社は、震災後、神戸の復興と共に歩んできました。神戸の活性化と飲食サービス業界の地位向上をめざしており、運営する店舗は、「VEGETABLE DINING 農家」「農家 うたげ。」など地元の農家から直送される野菜をふんだんに使ったお店がメインとなっています。 コロナ禍でやむなく閉めた店もありましたが「ありがたいことに従業員は誰一人辞めることはなかった」と池原さん。管理職は10年以上のベテラン勢がそろい、平均勤続年数は約6年。今後も「情熱とは、夢に向かうエネルギーそして熱は、伝わる」を経営理念とし、コロナで沈下している神戸を盛り上げ、街と人を元気にする店舗を運営していきます。

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